2015年7月30日木曜日

ウール生地の茶羽織

先日の記事のウールの茶羽織が出来てきました。

そうウール生地が無くて困った、という話です。

結局、スーツ用のウール100%生地を使い茶羽織を仕立てたのですが、うん、ハリがあって薄くても温かそうで、とても上品な感じです。
これは良い物が出来上がりました。


旅館・ホテル 茶羽織 半天 ウール



「ウールは風が通ると温かくなるんだよ。」
ウールを専門に扱う会社の社長さんが教えてくれました。

昔はウールの生地をどこでも在庫していて、注文が来るとすぐに仕立てて出荷していたそうです。
でも今では注文自体が少なくなり、受注してから生地を織り、織った生地は全て仕立てて出荷となりました。

確かに生地を積んでいてもそう売れるわけでは無く、会社の負担になるばかりです。

けどウールが売れなくなって、その代わりにポリエステルばかりになっている今の流れは、ちょっと寂しく感じます。




2015年7月23日木曜日

この旅館浴衣、もっとたくさん出来ないの?

「このネットショップに載っている浴衣、50枚欲しいんだけど・・・」

先日楽天ショップに載せた「龍虎柄、唐獅子柄」の浴衣について、問合せをいただきました。
こちらの浴衣は、在庫限りの商品で追加は出来ません。
と商品ページにも書きましたが、せっかくなのでもう少し詳しく。


楽天ショップ 特価浴衣:http://item.rakuten.co.jp/ryokan-yukata/c/0000000148/


旅館浴衣 男性用



浴衣を作るには、大きく二つの工程があります。

1、生地を作る(生地を手配する)
2、縫製する(仕立てる)

一般的な浴衣で言うと、浴衣が欲しいなと思い呉服屋さんに行って反物を買ってくる。自分で仕立てる、もしくは知り合いの人に仕立ててもらう、みたいな感じです。


で、この浴衣の場合、生地が問題です。
多色の生地って、作るのにロットが必要です。
アパレル系の生地だと数万m必要です。
この浴衣に使われているのは、アパレル系の生地です。

50枚作るのに、数万m作るなんて現実ではありません。


「何とかなりませんかねぇ・・・」
と言われても、会社で残り生地の在庫を持つなんて・・・・
あと、生地を正規に作った場合は、今のような価格では販売できません
とうぜん正規の価格となります。


そう、かなりお得な価格無わけは、次が無いからという意味もあるのです。


2015年7月21日火曜日

和モダンの浴衣

愚痴なので読まなくていいです。


オリジナルの浴衣を、との話をいただくたびに思い出すのは、まだネットで商売を始めたばかりの頃に受けたある旅館からの問合せ。

「和モダン柄の浴衣を送ってくれないか?」
まだ加減がわからない頃なので色々な柄を提案したのですが、結局話が合わずに流れました。

お客様のやりたいことは、たくさんのできあいの浴衣の柄を並べてその中から選びたい。
でも実際は、旅館の浴衣はオリジナルで作る物なので柄自体に著作権があり出せない物が多いのと、出せる柄は無難なものになってしまう。



想像する事って、けっこうパワーを使います。
また新しい柄を作るのもリスクがあります。

最近、想像したくない、リスクは避けたいと言う方が多くなり、結局メーカーの作ったカタログに載っている中国製の浴衣を購入するトコロが多くなってきた気がします。
これは新たなビジネスチャンス!
考えたくない人のために、こちらでセットして浴衣を選んであげれば喜ばれます!


でもそうゆうのは果たして良い事なのでしょうか?
自分の旅館を自分でコーディネートするのは、一つの醍醐味だと思うのですが。
他には無いサービス、他には無いイメージの風景。
それを喜んでくれる宿泊のお客様。
それをサポートする我々の業種。



なんとなくですが、想像力が乏しくなっているため、目先だけで動いている方が多くなってきたような気がします。
それはそれで新たな業界の流れとして対処するべきかもしれませんが、うーん、でもやっぱり宿泊されるお客様が喜んでくれるような、それを見て嬉しく感じるような旅館やホテルの経営者の方々のために仕事をしたいなぁ。
完全に自分の好みなんですがね。



最近は、浴衣のデザインも型のデザインだけではわからないとの声が多くなってきました。
仕立て図が欲しい、着たところの図が欲しい、一枚実物を作れないか・・・・
ある意味、作る方としては想像力の無い人を相手にするのは”楽”です。
使われ続けた後の形とか考えず、ぱっと見た目が良くって、欲しがりそうなモノを用意すれば良いのですから。
昔は型のデザインだけでわかる人ばかりでしたので、こちらも想像力をフルに使い、実際に宿泊されたお客様が着た時の様子、50回洗うとどうなるか、など先々の事まで想像し、それに対処できるような作り方をするのが当たり前でした。
旅館やホテルの経営者との一対一の対決のような緊張感があり、それで切磋琢磨して良い浴衣を作りあげてきました。


そんな昔の思い出に浸りながら、今の浴衣事情を考えています。
時代の流れに付いていけない、お爺さんみたいだなぁ・・・・












2015年7月17日金曜日

浴衣を裁断

大量の注文の際は縫製屋さんにすべて任せますが、少量の注文の際には自分で浴衣の裁断をします。

旅館浴衣の生地は三種類あって、36cm巾の小巾、72cm巾の二巾、108cm巾の三巾。
当然ながら裁断方法は異なります。

今回裁断したのは、三巾の生地。



旅館浴衣 裁断 縫製 日本製



仲間の問屋さんからは、「裁断なんかするの!?縫製屋さんに任せればいいじゃん。」

でも実際に裁断すると、浴衣の仕組み、縫製方法がわかり、さらにはデザインについてなど得られる物が非常に多くあります。


わかっている事が多ければ多いほど、お客様にも色々と提案できます。


でも自分で裁断までやる人なんて、とても少ないんだろうなぁ。


2015年7月13日月曜日

注染・ゆかた・和装展

「注染・ゆかた・和装展」って、あれ?昨年は「ゆかた祭り」じゃなかったっけ?

まあ、いいです、きっと僕の勘違いでしょう。

今年の「注染・ゆかた・和装展」は、郡上踊りがありません。
なので魅力は昨年の1/3くらいしかありません。
せっかく「郡上踊り」を楽しみにしていたのに・・・・

ご存じの方も多いと思いますが、浜松市は国産浴衣の生産日本一。
中でも伝統的な注染の浴衣が、特に有名です。

この「注染・ゆかた・和装展」は、浴衣に携わっている会社の展示・販売の機会です。








弊社は、基本的には「旅館浴衣の専門店」なのですが、一般用の本仕立ての浴衣も扱います。
オリジナルの物は、旅館浴衣だけでは無く本仕立ての浴衣も作ります。

注染で浴衣を作る場合、そのデザインに関して中々わかってもらえない事が多くあります。
そのため、注染の実演の動画を撮りお客様に説明しようと考えました。



せっかくなので浴衣を着て見に行きましたが、浴衣は涼しくて着心地が良い物です。
ただセットで売られている格安の浴衣は暑いと聞いています。

もっとたくさんの方々に、浴衣の魅力を伝えられればと思うのですが・・・


2015年7月9日木曜日

旅館浴衣の仕様

旅館やホテルなどで提供される浴衣ですが、夏祭りや花火大会の時に着られる浴衣とは、同じ浴衣ですが全くの別物です。


夏祭りや花火大会の時の浴衣は、個人で所有して外で着る物です。

旅館やホテルなどで提供される浴衣は、寝巻として不特定多数の人が着て、毎日洗濯されます。


不特定多数の人が着る=どんな人が着ても無難にまとまる柄。
また羽織や帯に左右されない柄。

また毎日洗濯されるという非常に過酷な扱いですので、生地もプリントもしっかりと耐久性のある物になっています。



旅館 浴衣 ホテル 業務用 日本製



業界的には値段先行。
安い物、安い物を追いかける風潮がありますが、価格と品質が比例する世界でもあります。
安かろう悪かろうになってしまいます。


日本製の浴衣は、基本的にディクセル方式の顔料プリントで、高い耐久性があります。
輸入浴衣は普通の顔料プリント。安いけど耐久性はかなり落ちます。

また日本製でも、安くあげるために普通の顔料プリントを使うトコロもあります。



正直、「ディクセル方式顔料プリント」と言ってもわからない人の方が多いと思います。
ですが、やはり一般の人では無く、旅館・ホテル業界の人ならば、知っていないとだまされる言葉ですので、商品を見極めるためにも知っていただきたいと思います。

ちなみに浜松で作られた業務用の浴衣は、全てディクセル方式です。


2015年7月7日火曜日

ウールの茶羽織半天

弊社の専門は旅館やホテルで使われる繊維製品です。
浴衣の上に着る、茶羽織(半天)も作っています。


先日のお客様からのお問い合わせ。
「ウールの半天はやってますか?」

?もちろんやってますよ。

ウールの茶羽織半天と言えば、業務用の半天の王道です。
ウールは汚れが付きにくく、薄くても温かいので業務用として良く使われる生地です。
なので業務用を取り扱う店として、当然扱っている物の一つです。

「色々な所に聞いたのですが、皆さんポリエステルの物しかやってなくって・・・・」

(ああ、きっと悪い所に当たっちゃったんだなぁ)
弊社はきちんと取り扱っていますので、ご安心ください。



業務用 ウール 半天 旅館・ホテル



お客様へ見本を送るため在庫を調べてみたら、えっ!無い・・・・・

ウール生地の取り扱いは、愛知県一宮市周辺が日本一です。
なので弊社もウールは、この方面の問屋さんにお願いしますが、うーん、無い・・・

色々聞いてみると、生地が高くて売れないからやめちゃった所ばかり。
ウールが高い、と言うより、ポリエステル が安い。
結局ウール生地を使おうと思ったら、新たに織るしかありません。


何とか希望枚数出来る生地を見つけて、サンプルを送りました。


 浜松でも繊維産業の衰退で色々と弊害が出ていますが、他の地域でも同じだと改めて感じました。

2015年7月4日土曜日

プリントをしてオリジナル浴衣

オリジナルの柄の浴衣を作るには、色々な方法があります。
ですが希望する枚数に合わせて、作り方は異なってきます。

「盆踊りに参加する際、おそろいのマークが入っている浴衣が欲しいんだけど。」
と言った御希望を受け、納期も短い事から、出来合いの絵羽浴衣にシルクスクリーンでプリントをして納めました。
これも一つの方法です。


が、本来、出来合いの浴衣はそれだけで柄が完結している物
うん、当たり前ですよね。
だって中途半端な柄だと売れませんから。

なので出来合いの浴衣にプリントする場合は、基本的に踊り用の絵羽浴衣になります。
一般の総柄の浴衣には、プリントする余地がありません。



プレタ浴衣



「オリジナルの浴衣を作る」となると、どうもTシャツと同じと考える人が多いみたい。

無地のTシャツのような浴衣が予めあると思っているようですが、後加工を前提とした浴衣はありません。

後でプリントを、というお話しをいただき、在庫のある絵羽浴衣の写真を送ると「うーん・・・・」
だと思います、はい、送る方もわかっています。
でも後からプリントとなると、絵羽浴衣くらいしかありません。


多分、これって夏になっても浴衣を着る人が少ないからだと思います。
実際に着ている人なら、こんな話にはならないと思うのですが・・・